MESSAGE CARD&PAPER CLIP開発秘話
2020 / 12 /22MESSAGE CARD&PAPER CLIP開発秘話
九谷色絵 柴田有希佳さんインタビュー
焼物以外に描く私の絵にどれだけ価値があるのだろうか?
最初に思ったことは「焼物以外に描く私の絵に価値があるのだろうか?」。
正直そんな戸惑いを感じました。これまで九谷の作家として土を成形し、絵を描き、焼成した物を作品として世に出してきました。
私からすればそこまで形にしてようやく皆様から認めて頂いていると思っています。
ところが、今回は絵付のみ。それも画用紙に描いて納品。いつもと違い過ぎて随分戸惑いました(苦笑)。
けれど私の信条として、声をかけてもらった時には何事も挑戦するようにしています。
ですので今回もお受けしました。
これもご縁ですからと苦笑いで語る柴田さん。
用途が違えば構図も変わる
始めに頂いたのは10cm×18cmの画用紙でした。
これに絵を描いた後、スキャンングして5cm×9cmのメッセージカードに仕上げるとのお話でした。
画用紙の大きさが普段制作している九谷角皿に近いと思って、角皿を想定しながらデザインを考えました。
ところが、打ち合わせでわかったことですが、メッセージカードは横書きの場合文字を左から右へ書くのに、左端に絵柄が配置されていて使う人が書きにくいカードになっていました。
その後デザイン修正しましたが、同じ絵を描くにしても対象物や用途が違えば構図を変えないといけないのだと改めて勉強になりました。
満つるが、欠くる
また通常、お花を描く時は咲き誇るように満開の様を表現することが一般的です。
けれど、今回のブランドKASHIKOは「満つるが、欠くる」というように自然の生命力がコンセプト。
ですのでお花も満開でなく、五分咲き、7分咲き、満開と成長していく様を表現しました。
これも面白い試みのデザインだと感じました。
伝統工芸と紙製品のコラボレーション
最後になりますが九谷焼は江戸時代前期に石川県加賀市で発祥し、その歴史は360年以上にもなります。
その中で私も作家活動していますが、九谷焼というには磁器であることと和絵具を使って表現することがひとつの基本となります。
けれど、今回の取り組みはそのいずれにも当たりません。
冒頭に述べたように「焼物以外に描く私の絵に価値があるのだろうか」という戸惑いが当初ありました。
けれど、こういった伝統工芸と紙製品がコラボレーションすることにより新たな価値が産まれるならそれは面白いことですし、チャレンジできたことは良い経験となりました。
製品が出来上がるのを楽しみにしております。
本日はありがとうございました。